いよいよ、ここからが実際にそれぞれの方法を利用しての具体的な相続税の対策に入っていくことになります。
まず最初に解説していく相続税の対策は生前贈与を利用する方法になります。
生前贈与を利用した相続税対策は相続の対象となる財産自体を少なくする方法の節税対策の中でも中核を担うものになります。
また、比較的簡単に行うことができますし、時間をかけることで着実に効果の上がる対策といえますので、ぜひ実際に活用して節税対策として利用しましょう。
なお、新制度である「相続時精算課税制度」についてもここで解説をしています。
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 * 連年贈与を利用した相続税対策
地味ですが長く行えば1番効果が上がるのが、この連年贈与ということになります。
贈与税の1年間の基礎控除額である110万円の枠を利用して、毎年複数の法定相続人に対して贈与していく方法です。
現金を110万円ずつ贈与していく方法でもかまいませんが、土地は路線価で評価されますので実際に取引されている価格より低く評価されますので現金よりは効率のいい相続税の節税対策ができます。
ただ、連年贈与を利用した相続税対策は一人あたり110万円と少しずつしか贈与できませんので、毎年行うことが大切になりますし、毎年行うことで着実に効果が上がる相続税の対策になります。

連年贈与を利用した相続対策を土地で行う場合には以下のような流れで手続きを行うことになります。
@、贈与契約書の作成
贈与契約を結んだことを書面にしておきましょう。

A、贈与する不動産の登記名義を変更します
贈与契約は結びましたが、公的な証拠を残しておかなければなりませんので、不動産の登記名義を変更する手続きをしなければなりません。
1.登記に必要な書類を集める
登記には以下のような書類が必要になります。
  @、贈与をする人の権利証
A、贈与をする人の印鑑証明書
B、贈与を受ける人の住民票
C、相続する不動産の評価証明書
権利証をのぞくすべての書類は市町村役場で取得することができます。なお、東京23区の不動産についての評価証明書は23区内の都税事務所で取得しなければなりません。

A、申請書の作成および登記の申請
申請書類の作成は非常に複雑で、このページで細かい内容まで説明することは難しいので、ここでの解説は控えさせていただきます。なお、実際に登記を申請する法務局(登記所)に直接問い合わせていただければある程度は教えていただけると思います。
申請書ができあがりましたら書類一式を相続する不動産を管轄とする法務局(登記所)に登記の申請をいたします。書類に不備がなければ1週間くらいで登記が完了します。
登記の申請は複雑ですし、非常に手間がかかりますので、できれば登記の申請は専門家に依頼されるほうがいいと思います。
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なお、連年贈与を利用した相続対策を現金で行う場合には以下のことを行うようにしましょう。
現金で贈与した場合は、その経緯を残しておかなければなりません。
ですから贈与する者の口座から贈与を受けた者の口座に送金されたという記録を必ず残しておかなければなりませんし、贈与契約を結んだことを書面にしておかなければなりません。また、贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告書を税務署に提出しましょう。

※連年贈与を利用した相続税対策を行う上での注意
例をあげると10年間毎年規則的に110万円ずつを贈与していった場合には最初に1,100万円を贈与する意図があったと税務署に扱われてしまうことがあります。
長期間に渡ってこの対策を行うということであれば、やはり、専門家の意見を聞いてから行うことをお勧めいたします。

 * 配偶者控除を利用した相続税対策
相続税において配偶者が優遇されたのと同じように贈与税においても一定の条件を満たすことによって配偶者が優遇される制度があります。
配偶者に対して居住用の財産を贈与した場合には2,000万円まで贈与税が無税になる制度です。上手く利用すれば贈与税の基礎控除と合わせて2,110万円まで贈与税が課税されないことになります。
また、相続開始前3年以内に贈与された財産はみなし相続財産となってしまいますが、この配偶者控除を受けた場合だとみなし相続財産とはならないとされています。
なお、配偶者控除を利用するには以下の条件を満たす必要があります。

@、婚姻期間が20年以上である配偶者への贈与であること
A、贈与した財産が居住用の財産、あるいは居住用の財産を購入するための金銭であること
B、居住用の財産の贈与である場合は翌年3月15日までに居住し、その後も引き続き居住する見込みがあること
C、今までに、その配偶者からの贈与について配偶者控除を受けていないこと
D、贈与税の申告をすること

どの財産を贈与すべきか?
贈与する財産として考えられるのは土地のみ、建物のみ、土地と建物の両方ですが、建物は時間が経てば価値が下がりますので、土地のみの贈与するのが1番いいでしょう。
また、贈与する財産が高額である場合には2,110万円分の持分を贈与することが可能です。
※居住用財産を近いうちに売却する予定がある場合には土地と建物の両方を一部ずつ贈与する方が有利です。居住用財産を売却する場合、土地と建物の両方を持っていれば所得税の3,000万円の特別控除が認められます。
これを利用しつつ、土地と建物の一部を配偶者に贈与して、共有状態の土地と建物を売却すれば、2人分を合わせて6,000万円の特別控除が認められることになります。

 * 住宅取得資金を利用した相続税対策

子供がマイホームを取得する場合に親が頭金を出してあげるというケースはよくあることだと思います。
このような場合には一定の額まで控除を受けることができますので、この制度を利用して相続財産自体を減らしていく相続対策です。
子供に対して住宅取得のための資金を贈与した場合には、550万円までは贈与税がかからないことになりますので、父母の両方で利用すれば1,100万円までは贈与税がかからないことになります。
ただし、この場合には贈与税の基礎控除を5年分前倒しにしたと扱われますので、その後4年間は子供に対しての贈与税の基礎控除が受けられないことになりますので注意しましょう。
住宅取得資金を利用した相続税対策を行う場には以下の要件を満たすことが必要です。

  1. 父母または祖父母から子供に対して住宅取得資金として贈与すること
  2. 住宅取得者のその年の所得が1,200万円(給与所得者の場合は1,422万円)以下であること
  3. 住宅取得者が住宅をすでに所有している場合であれば、贈与の日の翌年12月31日までに手放しておく必要があります。
  4. 取得する住宅の床面積の合計が50平方メートル以上および築20年以内(耐火建築の場合は築25年以内)であること
    ※増改築の場合の費用でも控除は可能です。その場合には増改築する住宅の床面積が50平方メートル以上で改築費用が1,000万円以上であること
  5. 贈与を受けた日の翌年の3月15日までに取得した住宅に居住すること
  6. 贈与税の申告を必ずすること

また、550万円を超える贈与であっても一定の額まで通常より贈与税が低く課税されることになります。具体的には以下のとおりです。

贈与額 特例を受けた場合の
 贈与税
特例を受けない場合の
  贈与税
550万円 0円 67万円
700万円 15万円 112万円
800万円 25万円 151万円
1,000万円 45万円 65万円
1,200万円 65万円 320万円
1,500万円 95万円 470万円
 *相続時精算課税制度について
「連年贈与を利用した相続税対策」のところで解説しましたが、1年間で110万円までの贈与が贈与税の非課税枠になります。
しかし、今回施行された「相続時精算課税制度」を利用すると、通常のケースでも2,500万円までの贈与が非課税になり、さらに、住宅取得資金であれば3,500万円までの贈与が非課税になります。
ただし「相続時清算課税制度」という名前の通り、この制度を利用して贈与した分に関しては相続時に相続財産の中に含まれ再度税額を計算されることになりますので、贈与時には非課税な場合であっても、実際には相続時に税金が課税される場合があります。
要するに贈与する以前の状態で、相続税がかかるような財産をお持ちの方だと、新制度を利用して財産を贈与しても単純に贈与税が非課税になるわけではありません。

それでは、以上のことを踏まえて「相続時精算課税制度」について詳しく解説させていただき、次に連年贈与などの他の節税対策との比較をしながら「相続時精算課税制度」を相続税の節税対策として考えた場合のメリット・デメリットについても解説させていただきます。

○2,500万円まで贈与税がかからない場合
従来までの制度で2,500万円の贈与を受けた場合に贈与税の計算すると、税額は970万円となり、約40%の税金を支払うことになります。
同じ条件で、新制度を利用した場合には、贈与税は2,500万円まで非課税になりますので、従来までの制度を利用した場合と比較して970万円も税金を節税できることになります。
また、新制度については、2,500万円を超えても一律20%の贈与税しかかかりませんので、2,500万円を超えるような場合においても従来の方法よりはるかに贈与税を節税できることになります。

従来の制度とは異なり、新制度を利用するには、いくつかの条件を満たしている必要があります。以下がその項目になります。

@、贈与者は、満65歳以上であること。

A、受贈者は、満20歳以上である推定相続人(代襲相続人を含みます)

B、相続時清算課税制度を受けるには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに税務署へ「相続時精算課税制度」を選択する旨の届出が必要

C、最初の贈与の際に税務署へ「相続時精算課税制度」を届出れば、相続時まで本制度の適用が継続される

D、受贈者である兄弟姉妹が別々に、贈与者である父・母ごとに選択が可能

○3,500万円までの贈与税がかからない場合 
前項で2,500万円まで贈与税がかからない場合について説明させていただきましたが、新制度には、さらに3,500万円まで贈与税が非課税になる場合があります。
この特例には条件があり、住居の家屋の取得や増改築をおこなう場合のみ利用ができますので、住居の購入や改築などをご検討されている場合に新制度を利用すると、さらに1,000万円の非課税枠を利用できることになります。
なお、この制度は、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの期間限定になります。
また、新制度の住宅資金については、3,500万円を超えた金額に対しても一律20%の贈与税がかかります。

3,500万円までの新制度を利用するには、2,500万円の条件を満たし、さらに
いくつかの条件を満たす必要があります。以下がその項目になります。

@、家屋の床面積が50u以上

A、新築の家屋

B、中古の場合は築20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)

増築の場合

C、増改築の費用が100万円以上

D、増改築の面積が50u以上

相続時精算課税制度を相続税の節税対策として考えた場合
「相続時精算課税制度について」の項でも解説しましたが、新制度を利用した場合でも贈与した分に関しては相続時に相続財産の中に含まれ再度税額を計算されることになりますので、原則として相続税を回避する手段として「相続時精算課税制度」を利用することはできません。
上記のことから相続税がかからない場合であれば問題なく新制度を利用することができますので、新制度の非課税枠を利用して生前贈与を行い、相続を円満に完了させることができます。
要するに、従来の円満な相続を実現させる手段としては、遺言を書くということが一般的な方法でしたが、遺言があっても相続時にトラブルにならないとは言えませんので、新制度を利用して生前贈与を行い、実際に相続が起きる前に相続財産の分配手続きを完了させてしまうことで、相続での争いを回避することができることになります。

さて、前項でも解説しましたが、相続時精算課税制度は相続税を回避する手段としは原則として利用することはできません。
ただ、いくつかのケースでは相続時精算課税制度を利用したことが相続税の節税対策につながる場合もあります。
ここからは相続時精算課税制度を節税対策として利用する場合の可能性について、連年贈与との比較を交えながら解説をしていくことにします。

まず、実際に相続が起きるまでに時間がない場合には、相続時精算課税制度や連年贈与などを利用しても、相続税の節税対策にはなりません。
例えば、連年贈与などの贈与を行っても3年以内の分に関しては、相続財産に加えて計算しなければなりませんので、相続税の節税対策にはなりません。
また、相続時精算課税制度も生前贈与することによって相続の際のトラブルを避けることはできますが、贈与した分に関しては相続時に相続財産の中に含まれ再計算されますので、相続税の節税にはなりません。

しかし、被相続人が健在で相続が起きるまでに時間がある場合には、いくつかの方法が考えられます。
まず1つ目は、収益があるような財産を贈与する方法で、駐車場やマンションのように持っているだけで収益がある財産を贈与する方法です。
この場合には贈与した後は贈与を受けた人が収入を得ることができますので、相続が起きるまでの間の収益分を節税できる可能性があります。
2つ目は、将来値上がりしそうな相続財産を贈与する方法です。
例えば、開発が進んでいる地域の土地や、もうすぐ上場しそうな会社の株式などです。
相続時精算課税制度は贈与時の価格を基準に贈与税を計算することになりますので、相続時に贈与された財産の価値が上がると、その差額分だけ相続税を節税することができます。要するに、贈与された財産が相続時までに価値が上がるような財産だとその差額分を節税できるということになります。

さて、いくつか例を挙げてはみましたが、収益がある財産の贈与を受けても、収益分のみの節税になりますので多額の節税対策にはなりませんし、贈与された財産が相続時までに価値が上がるかどうかは不確実ですので、必ず相続税の節税になるとは言えません。
それに対して、連年贈与を利用し毎年110万円の非課税枠を使って贈与をしていけば、その分に関しては確実に相続財産を減らしていくことができますし、贈与する年数を多く重ねることで確実に相続税の節税対策になりますので、実際の節税対策としては連年贈与の方が有効な節税対策だと言えるでしょう。
なお、相続税の有無にかかわらず相続時精算課税制度を実際に利用する場合には、所有している財産や贈与しようとする財産についてなど細かい状況について専門的な判断をした上で手続きを進めていく必要がありますので、実際に相続時清算課税制度を検討する場合には、事前に税理士などの専門家に相談をして手続きをすることをお勧めいたします。

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