ここまでで相続の知識および相続、贈与に関連した税金の知識について学んできました。
ここからがこのホームページの核心部分である、相続税の節税対策と相続にともなって起きる紛争の防止についての解説になります。
まず最初に、相続にともなって起きる紛争の防止についての対策として遺言を取り上げてみました。
遺言は税金の問題とは直接関係ありませんが、相続が発生したときの遺産分割などに関するトラブルを1通の遺言書で未然に防ぐことも可能になります。
このように遺言は円満な相続を迎えるために欠かせない存在であるといえるでしょう。相続対策の1つとして、まずは遺言について解説していくことにしましょう。
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* 遺言について
遺言はどのような場合に利用すべきでしょうか?
相続は個々の事案によって手続きが異なってきますが、あらかじめ遺言書が作成されていれば相続問題がスムーズかつ適切に解決できるケースが多くあります。
典型的なケースとしては、心情的には財産を譲りたいと思っている人が法定相続人でない場合、相続が発生した際に法定相続人同士で良好な人間関係を保つことができそうもない場合などになります。
具体的な事例を下記に列挙しておきます。
以下の事例に該当する場合には遺言を作成しておくべきでしょう。
@内縁の妻がいるような場合
同居はしているが婚姻届を出していない場合です。このような場合に内縁の妻は法定相続人となれませんので、財産を譲りたい場合には必ず遺言書を作成する必要があります。
A息子の妻が息子の死亡後も親の世話をしているような場合
息子の妻が息子の死亡後も親の世話をしているような場合です。このような場合に息子の妻は法定相続人となれませんので、財産を譲りたい場合には必ず遺言書を作成する必要があります。
C夫婦の間に子供がいない場合
この場合だと、妻と両親または妻と兄弟で財産を分け合うことになります。
この場合は当然に血のつながりがありませんので、遺産分割のトラブルのもとになる可能性があります。このような場合にも遺言書を作成するほうがいいでしょう。
D離婚した配偶者との間に子供がいる場合
離婚後に再婚して子供がいるような場合です。このような場合には腹違いの兄弟で財産を分け合うことになりますので、遺産分割のトラブルのもとになる可能性があります。このような場合にも遺言書を作成するほうがいいでしょう。
E愛人との間に子供がいる場合
この場合の愛人との間の子は、本妻の子の半分の割合の財産を相続することになります。このような場合には、遺産分割のトラブルのもとになる可能性があります。このような場合にも遺言書を作成するほうがいいでしょう。
* 遺言の効力
相続の手続きにおいて、もっとも優先されるものは被相続人の意思になります。
そして、その被相続人の意思を具体的に表現したものが遺言ということになります。
被相続人が亡くなった後に遺言があれば、遺留分(後で説明いたします。)を侵害しない限り、被相続人の財産は遺言書の内容通りに分配されることになります。
* 遺言の作成
遺言には非常に強力な効果があります。
しかし、その分遺言の書き方は厳密に決められており、法律で決められた形式のものでないと、せっかく作った遺言が無効になってしまうことがありますので、遺言書は慎重に作成しましょう。
遺言書の作成方法としては以下の3つの方法があります。それぞれ解説いたします。
1、公正証書遺言
法律の専門家である公証人が遺言の作成に関わることになりますので、遺言の方法としては最も安全な方法であり、かつ最も利用されている方式になります。
公正証書遺言は、このホームページでも1番お勧めできる方法ではありますが、公証人に対しての費用がかかってしまうというデメリットもあります。
実際の手続き
遺言を残そうする者(遺言者といいます)が証人2人とともに公証人役場へ行き、公証人に対して遺言の内容を口頭で伝えます。公証人がその内容を公正証書に筆記して読み上げ、確認ができましたら遺言者と証人が署名捺印し、続いて公証人が署名捺印すれば完成になります。遺言書は2通作成され1通は公証人が保管することになります。なお、実印と印鑑証明書が必要になりますので用意しておきましょう。
公正証書遺言の場合には公証人に対して手数料を支払わなければいけません。
具体的な費用については遺贈しようとする財産の価格によって異なりますので、直接管轄の公証役場へ問い合わせてみましょう。
2、自筆証書遺言
遺言者が自筆で遺言書を作成する方式です。
費用は一切かかりませんが、遺言者が亡くなった場合に、確実に遺言書が発見されるという保証がないことと、以下のルールに従って作成されていない場合には無効になってしまうというデメリットがあります。
自筆証書作成のルール
@、必ず遺言者自身の手で書きます。(ワープロで書くと無効になります。)
A、作成した日付を書きます。(○年○月吉日といった書き方は無効になります。)
B、署名捺印をします。(認印でも有効です。)
C、加筆・訂正・削除をする場合その字数を明記し、署名します。(例○字加入○字削除 山田太郎)
この場合の訂正方法が誤っていた場合には訂正した部分が無効になります。
3、秘密証書遺言
公正証書遺言の場合には証人が遺言の内容を知ることになってしまいます。
自筆証書遺言の場合には遺言が発見されない場合があります。
どうしても秘密を保持したいような内容で、かつ遺言が作成されたことを証人が知っているという状態にするのが秘密証書遺言です。
ただ、以下のルールに従って作成されていないと、自筆証書遺言と同じように無効になってしまいますので注意が必要です。
秘密証書遺言作成のルールと公証人役場での手続き
@、自筆証書遺言と異なり自筆である必要はありません。(代筆・ワープロでも有効になります。)
A、作成した日付を書きます。(○年○月吉日といった書き方は無効になります。)
B、署名捺印をして封筒に入れて密封し、遺言書に使用したのと同じ印で封印します。(認印でも有効です。)
C、加筆・訂正・削除をする場合その字数を明記し、署名します。(例○字加入○字削除 山田太郎)
この場合の訂正方法が誤っていた場合には訂正した部分が無効になります。
上のルールに従って作成した遺言書を証人2人とともに公証人役場へ行き公証人に提出します。遺言者は、封筒の中身が自分の遺言であることと、その筆者の住所氏名を述べて(作成した者が自分であるなら不要)、遺言者、証人、公証人が封筒に署名捺印して完成になります。
* 遺留分とは
遺言書は前述のとおり、亡くなられた人の意思を示すものであり、相続の手続きにおいて最も優先するべきものですが、本来財産をもらうべき配偶者や子などの今後の生活などを考慮し、亡くなられた人の財産を愛人にすべてを与えるなどといった内容の遺言があったとしても、ある程度の相続財産の分配を請求できる権利を民法では規定しています。この権利のことを遺留分といいます。
遺留分は法定相続人となるものが誰であるかによってその割合が変わってきます。以下の割合を無視した内容の遺言が作成されると遺言の内容が一部無効になってしまいますので注意しましょう。
配偶者と子、配偶者と父母、配偶者のみ、または子のみが法定相続人である場合
被相続人の全財産(死亡前1年間にされた贈与を含む)の2分の1が遺留分の割合になりますので、相続財産の半分については取り戻すことができるということになります。
配偶者がおらず、父母が法定相続人である場合
被相続人の全財産(死亡前1年間にされた贈与を含む)の3分の1が遺留分の割合になりますので、相続財産の3分の1については取り戻すことができるということになります。
* 遺言の取り消し
遺言者が遺言をした後に、心変わりして遺言を撤回したいと思うことがあります。
このような場合には遺言を取り消すことができます。
また、遺言者が遺言を撤回するような行動を取った場合には遺言を取り消したと扱われる場合があります。
以下に具体的に解説いたします。
@、前の遺言を取り消す遺言を作成した場合
前の遺言の内容を忠実に記載した上で「右遺言をすべて取り消す」と記した遺言を作成したような場合です。
A、遺言者が遺言書を故意に破棄した場合
遺言者が自らが作成した遺言書を破り捨てたり、焼却してしまったというような場合で す。
B、前の遺言書の内容に矛盾する日付の新しい遺言が存在していた場合
息子に不動産を与えるという遺言書を作成した後に妻に不動産を与えるという遺 言書が存在していたというような場合です。
C、遺言後に遺言者が遺言の内容と矛盾する行動を取った
息子に不動産を与えるという遺言書を作成した後に他の人にその不動産を売り渡 してしまったというような場合です。